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沼原湿原と周辺の林道状況 / 栃木県

林道ツーリングレポート (063/'05.6.18)


 梅雨の晴れ間を見て、那須の西山麓、沼原湿原を訪れてみました。
沼原湿原(ぬまっぱら・しつげん)は、那須茶臼岳の西山麓(板室温泉の奥)にある比較的小さな湿原ですが、首都圏からのアプローチも便がよく、手軽にミニ尾瀬を楽しむことのできる湿原です。季節はやや見頃の花などの谷間になりましたが、クロサンショウウオも数多く見られるというこの湿原に、運良く晴れそうな週末の天気予報をみて行ってきました。
また、寄り道程度ですが、周辺の林道も少しだけ様子を見てきましたのでレポします。

●実走コース
(省)・・・R4(矢板)→県30→県369→県266→乙女の滝→【林道沼原線】→沼原湖/沼原湿原→県369→深山湖→【大川林道】【大川(白湯山)林道】【林道七千山線】→県369→【林道木ノ俣線】【林道木ノ俣巻川線】【林道巻川線】→県30→R4・・・(省)

●データ(05.6.18)
【林道沼原線】
(仮称)
走行可
ダート区間約1.5km
完全な観光道路であるにもかかわらず、ダートなのは好ましい。しかし、案外、登板部分は荒れていて乗用車はかなり大変そう。終点近くの最終区間はものすごい幅広ダート。
【大川林道】 走行不可(ごく一部だけ走行可)
ロングダートであるが、当面開放見込みなし?
那須の深山ダム湖から、福島県田島町の栗生沢へ抜けるかつての名悪路
【大川(白湯山)林道】 走行可
全線ダート、1.7km。。その先の橋にゲートがありどこまで車道が続くかは未調査
大川林道を那須側(深山ダム側)から入ったときの通行止め地点の手前で右(北側)へ分岐。湯川に沿って谷を遡る。道は終点後も三斗小屋温泉方向へ伸びているがゲートで閉鎖される。
【林道七千山線】 走行可
今回走行ダート約1.2km程度
大川林道から大川(白湯山)林道を1.5km足らず走ったところで左に分岐。すぐ橋を渡って右岸を遡るが、泥濘地の多い悪路。
【林道木ノ俣線】 走行可
ダート残約2.3km
県道369の板室温泉病院近くから木ノ俣川を沢筋に遡るルート。路面は悪いところでもやや荒れ程度で、自家用車も最奥まで入る。木ノ俣巻川線の分岐から終点広場までがダート
【林道木ノ俣巻川線】 走行可
全線舗装
林道名が示すとおり、木ノ俣線と巻川線を接続するルートの舗装林道。百村山山頂近くは、晴れていればかなり遠方まで見渡せ眺望のよい道。
【林道巻川線】 走行可
全線舗装
沢沿い林間の景観として特に特徴もない舗装林道

●林道地図
那須西山麓エリアの林道地図


(1) 乙女の滝
(2)
那須に訪れたことは数多いですが、随分久しぶりな気もするし、板室温泉の少し東にある、この名所の「乙女の滝」もこれまで通り過ぎていたので、今回はちゃんと見てきました。
那須の南麓を横断する県道266号沿い、滝見用の駐車場に駐車して、よく整備された散策路を下っていくと、そこは緑の天井に包まれた世界。太陽は梅雨でしばらく見ていなかったうちに、もう夏至も間近、照りつけるような光がブナの木漏れ日となって森の中にも注がれていました。
乙女の滝は何条かに別れた水の落ちるさまが、繊細で柔らかな乙女の髪に例えられる那須での見所のひとつ。暑い一日が予想される、梅雨の晴れ間の朝ですが、この滝の周辺は、ひんやりとした冷気を送り出す天然のクーラーがよく効いていましたよ。
大きな画像で見てくださいね
(3) 林道沼原線
さて、乙女の滝を後にして、県道266をもう少しだけ東に進み、「沼原湿原」の表示案内を見て山道に入ります。初めは舗装されていますが、道も中ほどでダートが現われます。
しかし、ダートとはいえ、完全な観光仕様、フラットな区間は路面も超フラット。舗装路と違わない平坦さです。
周囲では、この時期特有のエゾハルゼミの声が溢れています。
(4) 
この真っ白なゾウムシ、見たことありませんでした。たぶん。コフキゾウムシより白くて口が細くない。同定できずです。こんどゾウムシもよく勉強してみます。
もっとじっくり見ていきたいですが、小さな虫まで全部見ていると、なかなか足が進まないので、惜しみながらも車に乗り込むのが悲しいところ。

道のほうは坂に入り、急に荒れだしてきました。もちろん、いつも林道を走り慣れた代官号で困るような荒れ方ではないのですが、道の性格上、乗用車ばかりが走る道としては、いささか厳しい荒れ方です。
(5) 
坂を上りきると、左に沼原池の管理棟入口を見て、その先がこの画像のように、他に例を見ないほどの幅広ダートになっています。幅員10〜15mほどあるかもしれません。景色も開けてきたので気持ちよく流して走ります。
道の南側には開けた広場などもあってとにかく開放的な雰囲気が気持ちいいです。
(6) 
ダート開始から、1.5kmというわずかな距離ではありますが、変化ある道を登り、その終点に、この大きな駐車場が待っています。
画像右端に見えているのはトイレ棟で、これは、しっかりしたものなので安心ですよ。
また、画像の枠外左方向が沼原池、沼原湿原になるのですが、駐車場と沼原池外周路の間が芝生&ベンチ有りの公園になっていてのんびり出来そうです。
うっかり調べてきませんでしたが、この駐車場や周辺施設は時間で開閉するようには見えませんでした。夜営とかしてもいいのかな?
(7) 沼原湿原
これが沼原池です。全くの自然に囲まれる中、コンクリートで丸く囲まれた池は、とんでもなく人工的です。
また、どなたが見ても、ただの溜池ではないと感じることと思いますが、ここを上のダムとし、もうひとつ山の下にある深山湖を下のダムとして、揚水発電を行っているのです。

揚水発電というのは、上から下への自然の水の流れのみでなく、夜間に余剰電気を使って、発電に使って落ちた水を下のダムから上のダムに再び揚水し、発電量が不足がちな昼になってから、水をまた落として発電するということを繰り返す仕組みの発電方法です。
(8) 湿原へ
この日のメインの湿原へ向かいます。駐車場から遊歩道が整備され、緑がまぶしい木々の間を縫って歩きます。やっぱり、自然の中は車より歩いたほうが断然いいですね。
しばらくは、ほぼ平坦路が続き、最後は下りになっていて、約10分ほど歩くと湿原にたどり着きます。
(9) エゾハルゼミ
この季節、北関東や阿武隈の林道を走ると、きまったように聞えてくるセミの声。それが、この特徴ある鳴き方のエゾハルゼミです。鳴き方は「ミョ〜〜キッ」「ミョ〜〜キッ」という声と、「ケケケケケケケ」というヒグラシのような声の2つが、まるで別々の虫のように聞えますが、実はそれがひとつなぎで、このセミの1セットの鳴き声なのです。声をwavファイルで収録してきました。

←ここをクリックすると、現地で収録したエゾハルゼミの声を聞けます。
 ただし、ボリュームは最大に近くしませんと、それらしく聞えないかもしれません


(10) 
湿原はこの時期やや渇き気味でした。ニッコウキスゲが咲くにはもう1〜2週間必要なようです

アブが無心に花から花へ飛び回っています

(11)
これは、オタマジャクシですが、水の中には特徴あるクロサンショウウオのタマゴ(乳白色アケビ型)も見られました。

(12)
立ち枯れた木々がとてもいい味になってます

ハルリンドウ〜サイト内で何度も登場していると思います

(13)
周囲の森に子供を抱いたニホンザルの姿も・・・

この立ち枯れはかなり大きめです
(14)
今回は、林道メインではないこともあり、珍しく子供たちも一緒で久々に4人家族で訪れました。ここでのんびり昼食です。

ヤマツツジは、そろそろおしまいの時期のようです。それでもいい色を見せてくれます。
(15) 深山湖
沼原湿原でかなりゆっくりと昼まで過ごし、午後は周辺を少し見て回ります。まずは、発電の下のダム深山湖です。こちらは、もちろん人造湖(ダム湖)ではありますが、沼原池よりは湖岸が自然っぽいです。

(16)
(17) 大川林道
ダム湖の東湖岸を奥に進むと、やがて舗装路が途切れます。
この先は立派に林道ですが、路線区分上は、このままずっと県道369号として、道が続きます。
ここは、かつて難路と言われた大川林道で、今でも難路ではないというのではなく、残念ながら、福島県の田島町への通り抜けが止められています。貴重な県境越えですが、国道のR400が通じる今は、一般の車にとって、もう再開の必要がないのかもしれません。
(18)
季節柄、林道沿いの緑は豊かで、心も洗われるような森を分け入りますが、走れる区間はそう長くはありません。
(19) 大川(白湯山)林道
(20)
大川林道が二またに分かれ(画像19左)この分岐から右(北)に入るのが大川(白湯山)林道です。左への大川林道本線は、ほどなく行くと通行止めになります。
大川(白湯山)林道の総延長は1.7kmとなっていて、初めからダートが続いています。この道は湯川の沢沿いで水音がずっと聞えます。
(21)
1kmあまり進むと、この画像の分岐に出ます。右が本線、左が七千山林道となります。
ここは、まず、本線を進みます。ちょっと細めです。
(22)
もともとここまで沢沿いの道でしたが、ここで広く視界も開けて沢に出るので気持ちよい区間。こんなところで、一日ゆっくりしていると、いろんな野鳥や小さな哺乳類に会えるんですよね。ただ、今回は残念ながら、それほどゆっくり出来ませんけれど・・・
(23)
大川(白湯山)林道は、この画像の橋のところでゲートが閉まっていて終点になります。道そのものはもう少し先に続いていますが、この先は常時閉鎖であるようです。3台くらいの車がこの周辺に駐車されていました。おそらくは、ここから三斗小屋温泉方面に徒歩で入っているのでしょう。三斗小屋温泉はかれこれ12〜3年くらい前に訪れて以来、行っていませんが、あの素朴なランプがともる2軒の宿は、いまだ変わらずにやっているのでしょうか。

(24) 林道七千山線
大川(白湯山)林道を(21)まで引き返し、林道七千山線に入ってみます。道はすぐに橋で湯川の沢を渡ってもう一つの沢に分け入って行きます。
(25)
こちらもかなり緑が鮮やかで、特に暗いということもありません。ただ、利用は少ないようで、若干草が覆いかぶさってきています。道自体は、荒れていません。
(26)
七千山線の入口から、約900mでこの分岐が現われます。
少し分かりづらいですが、左が本線、画像右方向へ分線が出ています。こちらは今回入っていませんが、画像の正面に白い四角形で見えている地図によれば、ほんの少し入ったところで道はなくなるものと思われます。
(27)
分岐を左の本線に進みましたが、(26)の先からは、道もより細くなり、また、かなり泥っぽくなってきました。正面の路面いっぱいにドロドロした感じの水溜りに出会ったところで、先に進む気が消失。はまるということはないと思いますが(乗用車ははまります)、もうさほど先もないので引き返します。

(28) 沼原発電所展示館
この深山湖奥のエリアを脱して(17)のところまで戻ってきました。そこにあるのが、この発電所の展示館。一応管理人さんが1名みえましたが、入場無料の静かな展示館の中を一通り見学させてもらいました。
(29) 林道木ノ俣線
(28)のあとは、県道369号を板室温泉の方まで下りてきて、更に雪避けのトンネルよりほんのの少し下(南)の分岐から林道木ノ俣線に入ってみます。細い道ですが、初めはしっかり舗装されており、間もなく現われるダートは200mくらいでまた舗装に戻ります。
結局、県道の入口から2km余りを走って、左(南)に林道木ノ俣巻川線を分岐するところからダートが始まります。
(30)
時期が6月だからか、いつもこうなのか分かりませんが、少々湿り気味の道を進んでゆきます。
(31)
ちょっと画像では、伝わりにくいかもしれませんが、林道脇に、いかにも人工的ではあるものの、それなりの歴史がありそうな水路が見られました。画像で右のほうはこの水路よりずっと低い土地があるので、この高さに水が流れていることにやや違和感。
(32)
もう少し行くと、林道の路肩に色鮮やかなヤマカガシがひなたぼっこをしていました。すぐ近くまで行かない限り、動くのは少々面倒なようです。
(33)
木ノ俣線のダートは約2.3km(0.2km+2.1km)で、最後はこの広い駐車スペースに出ます。このたくさん並んだ車はみな沢釣りの方々でしょうか。
ともかく、周辺を少し歩いた後、来た道を引き返します。
(34) 林道木ノ俣巻川線〜林道巻川線
木ノ俣線のダート初めまで戻り、(29)に書いたように、そこから分岐する林道木ノ俣巻川線を走ってみます。
この木ノ俣線とこれに続く巻川線は、どうも全線舗装林道のようです。ただ、ところどころ、このような落石などもあって、また、標高が上がるにつれて、景観もよくなっていきます。
(35)
このあたり、林道木ノ俣線で最も標高が高いところで、晴れていれば、かなり遠くまで視界に捉えることができそうです。ゆったり気分で右に左にカーブを曲がりつつ、林道巻川線へと入って行きます。
(36)
最終的には、このように百村の集落内に出てきます。

今回は、沼原湿原散策がメイン。林道はオマケ程度ではありましたが、緑濃い林道を走りながら、昆虫や野鳥を見て回るのはほんとうに楽しいものです。
また、沼原湿原は、もう2週間くらい遅らせれば、ニッコウキスゲが咲きそろってかなり綺麗なはずです。
便のいいところにある湿原であるので、また機会を見て訪れてみようという気にさせます。


画像は「ヒオドシチョウ」。この蝶は、一年でもこの時期しか活動していることのない蝶です。





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